【50分でも変化】成長マインドセットが英会話にこそ必要な理由

こんにちは!English24(イングリッシュ24)です。

成長マインドセットは英会話などの挑戦をする人にとってとても大切な考え方です。自分の能力は変わるということを理解して、何かを学んで成長していければ、それに応じて結果も変わってきます。成長マインドセットは短時間の説明を聞くだけでも変わるので、ぜひ理解して切り替えていきましょう。

?この記事で分かること

・成長マインドセットが英会話のような挑戦に必要な理由
・成長マインドセットで変化したスタンフォード大学の具体例
・成長マインドセットを作る方法と気をつけるべきこと

この記事を書いている筆者は、フィリピン在住5年、語学学校勤務3年の英会話講師兼アドバイザーです。数百人の留学生やオンライン英会話の受講生の指導をさせていただきながら、彼らと向き合ってきた中で得た知識と経験を元に、最新の科学論文に基づいた根拠を交えてお伝えします。

 

成長マインドセットが英会話にこそ必要な理由

成長マインドセットとは、自分の能力は変えていくことができる、という考え方です

例えば英会話という難しい問題が目の前にある時、そこに対して挑戦することが楽しい人と、難しい問題はやりたくない人がいます。この違いはどこからくるのでしょうか?これは、この成長マインドセットができているかどうかで変わります。

成長マインドセットは英語でGrowth-mindset(グロースマインドセット)と呼ばれ、スタンフォード大学の心理学者キャロル・S・ドゥエック(Carol S. Dweck)博士の研究で広まりました。しなやかマインドセットとも呼ばれています。逆に自分の能力は変わらないという考え方は硬直マインドセット、英語でfixed-mindset(フィクストマインドセット)と呼ばれます。

成長マインドセットがあるかないかで、次のような違いが出てきます。

 

困難なことへの挑戦

硬直マインドセット:私の能力では無理なので挑戦しない。持って生まれた才能でできることが決まってくるので、難しいことを頑張る意味がない。
成長マインドセット:困難に挑戦していくことで自分は成長し、能力も変化する。今の自分には難しくても、段階を経て成長すれば必ずできるので挑戦してみよう。

 

挑戦することの目的

硬直マインドセット:とりあえずやってみるけど、能力は変わらないのでやる意味はない。能力的にできないことはどうせ失敗するので、目的を持てと言われても無理。
成長マインドセット:とりあえずやっていけば能力は変わるので、成長して新しいスキルや知識を身につけることができる。それらを学校や仕事や社会でどう役立てられるのか、学習する目的も考えていこう。

 

このように、硬直マインドセットになっていると挑戦はただの難しいことになり、目的などは意味を持ちません。ですが、成長マインドセットになると、挑戦することで成長し変わっていくという意味が生まれ、その挑戦から得られる経験や知識やスキルがあるので、それをその先どんなことに役立てていこうかという目的を持つこともできます

硬直マインドセットの人の特徴は、挑戦がストレスになってしまい、何か物事を行う目的も持っていません。成長マインドセットの人の特徴は、挑戦は成長のチャンスと捉えて楽しくなり、未来の成長した自分がどのようなことをするかを考えられるので、今の目の前の挑戦をする理由、目的も生まれてきます。

これが、英会話をはじめとする困難なことにチャレンジする人が、成長マインドセットを持つべき理由です。

 

成長マインドセットで実際に行動が変わった具体例

2018年にスタンフォード大学が行った実験をご紹介します。

 

14〜15歳の中学生12,542人を2つのグループに分け、片方には成長マインドセットの動画、もう片方には脳の構造に関する動画を見せた。動画は25分で、約20日間の間隔を開けて2回見せたところ(同じ内容の動画)、成長マインドセットの動画を見た生徒の成績は平均で0.03ポイント上昇し赤点の取得率は3%低下した。特に、動画を見た後に意図的に成長マインドセットをしようと意識した生徒は成績が0.08ポイントも上昇した。

 

中学生に25分の動画を2回、たった50分だけ成長マインドセットの大切さを説明しただけで、わずか20日という短期間の実験期間の間に、すでに変化が出てくるというのはかなり驚きの結果です。

成長マインドセットは、今の時点でテストで50点の人が、明日から急に100点が取れるという魔法のような話ではないです。中学生のテストの点数で言えば、1ヶ月でほんの数点変わるくらいの話ですが、これが1年2年と人生の中で続けていくことで、気がつけば大きな差になるような成長をもたらしてくれるものです。

この成長マインドセットがわずか25分のセッションを2回、50分で変化するのであれば、成長マインドセットについて学ばない手はないと思います。

 

自分を成長マインドセットに変える方法

自分を成長マインドセットに変えていくには、自分の過去の成長とその理由に気づくことが大事です。そして、結果だけを見るのをやめて、困難へ挑戦する時の努力の過程に目を向け、具体的な事実について褒めるということが大事になてってきます。

 

自分を成長マインドセットに変える方法

・過去に成長した経験を思い出す
・成長できた理由を思い出す
・成長した過程の事実を褒める

 

褒める方法を知っておけば、自分だけではなく家族や友人にも成長マインドセットをしてもらうことができます。具体的な方法についてみていきましょう。

 

過去に成長した経験を思い出す

新しいことに挑戦し、失敗しながらもできるようになった経験を思い出すことで、自分も過去に成長し変わることができたという認識が生まれ、成長マインドセットに変わっていくことができます。

 

自分に以下の質問をしてみましょう。

・はじめは上手くできず、やっていくうちに上手くできるようになったことは?
・絶対に無理だと思っていたことが、やってみたら意外とできたことは?
・今現在、できないと思い込んでいることは?

 

この3つの質問に、自分の過去の経験から答えを出してみましょう。そして、過去に自分の能力が変わって、できないことができるようになった成功体験から、一貫した努力を続けていけば人は変われるということを、ハッキリ言い聞かせてください。

こうすることで、自分が今現在できないと思い込んでいることに挑戦し、成長していくことができるようになります。

 

成長できた理由を思い出す

続いて、初めは失敗していたのに成功に至った過去の成長の経験について、どうしてそうなることができたのかという理由を考えてみましょう。できなかったことができるようになった過去の成長で、そうなるために重要だったという具体的な理由です。

硬直マインドセットだと、才能や能力があったからできた、という答えになります。ですが、成長マインドセットに変わると、過去にどんな努力をしてきたのかを答えられるようになります。

ここで大事なのは、才能だとか努力という抽象的なワードではなく、結果を変えることになった具体的な行動を答えることです。努力したから、頑張ったから、ではなく、何時間勉強したからとか、何日継続したからなど、なるべく具体的に行動したことを、成長の理由として認識できると良いです。

 

成長した過程の事実を褒める

人は社会の中で、褒められることによって成長マインドセットに変わっていくことができます。

人を褒める時は何を褒めるかが大事で、成長マインドセットに変えていくには、結果ではなく過程について褒めて下さい。それも、ただ単に頑張ったという抽象的な努力ではなく、挑戦する過程で具体的にどういう対策や行動をしたのかという事実を褒めるのがポイントです。

英会話の勉強をしている人であれば、頑張って続けてますね、という曖昧な努力や、話せるようになりましたね、という結果を褒めるのは成長マインドセットにつながりません。いつも予習していたとか、単語の復習は欠かさなかったというような具体的な行動の事実を褒めることで、人は努力によって変わることができるという成長を実感し、成長マインドセットに変わっていくことができます。

 

成長マインドセットを作るために気をつけるべきこと

テレビや映画やYoutubeなどで成功者と呼ばれる人を見た時、人は無意識に彼らには才能があったんだと考えたり、運や環境にも恵まれていたんだと思ってしまいます

英語をペラペラ話せる日本人を見た時、「語学の才能があって羨ましい」とか、アメリカ生まれのバイリンガルの人を見た時、「私もアメリカに生まれたかった、いい環境で育って羨ましい」などと思ってしまったりしないでしょうか?このような人は、無意識に硬直マインドセットに陥ってしまっているかもしれません。

成功者と呼ばれる人は、もちろん皆さん、圧倒的な努力をしています。彼らの誰しもが、最初から物事を上手くできたわけではありません。能力という意味では、自分には向いてないと思っていた人もいれば、やってみないと分からないという状況で挑戦してきた人もいます。

英会話を含め勉強に関して言えば特に、勉強ができる人って才能があっていいよね、と片付けてしまうことがよくあります。これは、無意識に硬直マインドセットに陥っている人の1つの特徴です。

硬直マインドセットの人は、成功している人は自分とは違う、彼らには才能があったんだということにしてしまいたい気持ちがあります。そうでなければ、単に自分がやらなかっただけになってしまうからです。このように、他の人の努力を見ることを避けてしまう人は、注意が必要です。

 

自己効力感につながる成長マインドセット

自分が成長することで、できなかったことができることに変われば、その成功体験はとても大きな自信になります。心理学では自己効力感self-efficacy(セルフ・エフィカシー)という言葉があり、これが育つと、過去に成長してできるようになったことに対して、自分にはできるという予想を立てて実際に行動したり、未来で同じような物事にも挑戦しやすく、またより一層努力するようになる力です。

英語で自己効力感なポイントについては、こちらの記事で分析していますのでぜひご覧ください。

 

 

成長マインドセットで継続的に努力を続けていくことにより、このようにさらに成長していく自己効力感が育ち、将来的により大きな成功を手にすることができます。この積み重ねによって成功者が生まれてくるので、成長マインドセットは凡人が長い年月をかけて天才に勝つ唯一の方法と言われているくらい、多くの人にとって重要なものです

一方で、世の中の全員が努力すれば必ず成功するわけではない、ということも多くの大人の方は気づいているはずです。成功か失敗かという結果は努力する上で重要になることですが、成功は保証されたものではありません。そして、順風満帆に成功しているように見える人も過去には多くの失敗をしたりしています。

もしたった1つの失敗から、自分をダメな奴だと思ってしまうのであれば、まず必要なものは自己肯定感になります。成功であれ失敗であれ努力は大切であり、例え失敗であっても成長することはたくさんあるので、成長マインドセットにおいて失敗は無駄ではありません。そして挑戦の結果が失敗だったからといって、人としての自分の存在は揺るがずに価値を持っています

このように自分を肯定する考え方が自己肯定感です。自己肯定感を育てる英語教育について、以前にこちらの記事で書いていますのでぜひご覧ください。

 

 

成功か失敗かは単なる結果であって、失敗という結果は自分の存在否定にはなりませんし、成長マインドセットがあれば失敗から成長できます。むしろ失敗から学び成長することの方が多いと思います

また1つの挑戦を全部失敗と捉えるのではなく、長期的な挑戦の最終ゴールまでの道のりをスモールゴールに分割して、小さな成功体験を積み上げていくことも大事です。以前の記事で、英語学習のゴール設定の目安についてこちらの記事で解説しています。英語学習をしている方はぜひ、こちらも参考にしてください。

 

 

まとめ

いかがでしたでしょうか?

英会話のように比較的大きな挑戦をする場合、特にこの成長マインドセットが重要になってきます。この成長マインドセットで少しずつ、以前はできなかった単語をスピーキングで使ったり、前より少しリスニングができるようになったりしていきますので、成長マインドセットに切り替えて取り組んでいきましょう。

それではまとめます。

 

成長マインドセットが英会話にこそ必要な理由

・成長マインドセットによって、挑戦は成長のチャンスと捉えて楽しくなり、今の目の前の挑戦をする理由や目的も生まれてくる。
・50分だけ成長マインドセットの大切さを説明しただけでも人は変われる。長期的に続けていけば、かなり大きな違いになるほど成長する。

 

自分を成長マインドセットに変える方法

・過去にできなかったことや、絶対に無理だと諦めていたことが、できるようになったという経験を思い出して成長を認識する。
・過去に成長できた経験について、そうなった理由の具体的な行動について思い出す。
・成長した経験について、結果や抽象的な努力ではなく、過程の具体的な行動や事実を褒める。

 

成長マインドセットを作るために気をつけるべきこと

・他者の成功は才能だと考えるのは、硬直マインドセットの特徴なので要注意。
・成長マインドセットができていれば、成功した時だけではなく、失敗しても成長できる。1つの失敗で自己公否定しないためには自己肯定感、1つの結果だけで失敗と考えてしまう人はスモールゴールの設定で小さな成功体験を意識しよう。

 

成長マインドセットは、自分の未来を変える重要な考え方です。ぜひ意識して身につけましょう。

コメント

  1. […] 行動という意味で成長につながっていく自己効力感ですが、自分が変われる、自分は成長できる、と自分について考えるのは成長マインドセットというものになります。成長マインドセットについては、詳しくはこちらの記事を参考にしてください。 […]