こんにちは!English24(イングリッシュ24)です。
日本人が英語を話せない理由の1つに完璧主義があります。英語を話せるか不安、間違いが怖い、英会話が恥ずかしいなどの気持ちの根底に、この完璧主義が潜んでいるかもしれません。
日本人の若者は特にこの完璧主義の人が増えていると言われており、自分でも気づかないうちに完璧主義に陥っている可能性があります。この記事では日本人の完璧主義の傾向、英語に与える影響、原因と対策について解説します。ぜひ完璧主義を克服して、気にせずに英語を話せるようになりましょう!
?この記事で分かること
・完璧主義が日本人の若者で増加している傾向
・完璧主義の種類、問題点、原因
・完璧主義の対策、セルフコンパッションとゲーム化
この記事を書いている筆者は、フィリピン在住5年、語学学校勤務3年の英会話講師兼アドバイザーです。数百人の留学生やオンライン英会話の受講生の指導をさせていただきながら、彼らと向き合ってきた中で得た知識と経験を元に、最新の科学論文に基づいた根拠を交えてお伝えします。
完璧主義とは何か?英語を話せない日本人の現状と問題点
一般に完璧主義の人というと、環境やタイミングなどの条件が全て揃った状態でないと行動できない人を指します。英語において完璧主義が問題になる場合、間違いがダメという考え方が根底にあり、文法や発音などが完璧に分かるまで英会話をスタートできないということになります。
最近の日本人の英語学習では特に、英語においては会話を重視する傾向になっていますので、学校の授業やオンライン英会話などにおいても、まずは話してみましょう、というところからスタートする場合が多いです。
ですが、完璧主義の場合、そのまずはやってみる、とりあえずやってみる、ということがなかなかできなくなってしまいます。この状態がよりひどくなると、まさに完璧な文法で、完璧な発音でないと英語を話すことができない、間違ったら恥ずかしい、分からなかったらダメだ、できなかったら一生の終わり、といったような気持ちになってしまいます。これが完璧主義です。
増加傾向にある日本人の完璧主義の種類
現状については、特に日本人の若者の間で完璧主義の傾向が強くなっていると言われています。一口に完璧主義といっても種類がありますので、まずはその種類と特徴から理解していきましょう。完璧主義の種類は大きく3つに分けて考えます。その3つは以下の通りです。
社会規程タイプ:男はこうあるべき、先生とはこうでなければいけない
他者指向タイプ:自分ではなく、他の人に完璧を求める
この3つで、それぞれ完璧を求める対象が違います。そして、どのタイプであっても完璧主義に共通する問題があり、極度に失敗を恐れたり、一切チャレンジをしなくなる傾向が強いです。
そして、この3つのどのタイプにおいても、今の日本人の若者を中心に増加傾向にあります。ある調査によると、自己本位タイプが10%、社会規定タイプが33%、他者指向タイプが16%増えているとのこと。
日本人の若者の自己肯定感が他国に比べて著しく低いことについても、間違いが怖いという考え方が根底にありますので、それを裏付けるような結果で一致しています。そして増加しているこの完璧主義は、英語を話す行動をしなくなる原因となります。
完璧主義と合わせて日本人の自己肯定感が低いことも英語を話すための課題ですが、筆者のいるフィリピンはとても自己肯定感の高い国です。英語を教えるだけでなく、自己肯定感を高めて英語教育の問題を解決するフィリピン人講師については、こちらの記事をご覧ください。
完璧主義の2つの問題点
完璧主義の問題は大きく2つあります。それは以下の通りです。
2. 決断できなくなること
英語において日本人の問題と言われるのは、最初にあげた行動できないというほうが注目されています。間違いが怖いので、そもそも英語を話そうしない、ということです。
英語に関しては、世界に出てみれば分かることですが、日常的に使われる英語はかなり間違いながら話されています。そうそう完璧な英語を話しているような人はいませんし、筆者はフィリピンに5年住んでいますが、フィリピン人はもちろん、たくさんいる韓国人や中国人なども盛大に間違った文法と訛った発音でガンガン英語を話しています。
間違いが怖いという理由で英語を話さないのは日本人だけではないか?と思うほど、彼らはドンドン英会話をしていきます。このあたりは、そういう事情を知っておくのも、まずは大事になってくるでしょう。
一方であまり語られない完璧主義の問題として、もう1つの決断できないという点も見直したほうが良いです。この問題は見えづらくなってしまっていますが、完璧主義の人というのは、全ての情報が出揃って、あらゆる英語学習の方法なども全部分かった上で、完璧にベストなものでないと始める決断自体をしません。
もしかしたら他にもっと良い方法があるかも?とか、もっと良い本があるかも、もっと良い先生がいるかも、と際限なく完璧を求めてしまいます。本人に質問すると、自分は決して間違いが怖いわけではないし、失敗を恐れてもいない、完璧主義ってわけじゃないけど、今はまだ英会話をどうするか悩んでる、といったように思い込んでいます。
ですが、実はこれも完璧主義からくる問題で、決めることができないのです。テキストを決められない、先生が良いかどうかも、いまやっているトレーニングで大丈夫なのかどうかも、常に判断できず、目の前のことをとりあえず一生懸命やってみるということができないのが、この決断できないことの問題点になります。
完璧主義に陥ってしまう原因
完璧主義になってしまう原因にも色々なことが言われています。大きく分けると2つ、親の影響と社会の影響ということになります。日本人の若者だけでなく、子供がいる親世代も完璧主義になっていることがあるので、そういう意味では日本社会の根本的な問題であり、つながっていると言えます。
この2つの原因について、掘り下げて解説していきます。
親の影響による完璧主義
親の影響については、幼い頃に親がどのような態度で子供と接していたかによって、子供の受け止め方が変わってきます。完璧主義について、ウィキペディアでは親の影響が以下のように説明されています。
一例を挙げれば、条件的な愛(厳密に言えば愛ではなく、自分のエゴの押し付け、とも呼べるようなもの)しか示さない両親などの保護者のもとで育てられた場合に、このような気質になってしまうことが多いことが知られている。すなわち、何かがうまくできた時だけ認めたり愛情を示すが、何かができないと愛さない、というようなあからさまな態度の変化があるような親によって育てられると、子供は自分が何かがうまく実行できるかどうか、ということに(本来人間が自然に持っているおだやかな関心以上に)異常に過敏になってゆく。
このように、少しでも間違うと怒られてしまうような状況が続いた場合、それがダメなんだ、完璧でなければならないんだ、と思い込むようになってしまいます。
筆者は実はこの点は身に覚えがあります。私は中学生の時に、国語の点数で99点でクラスで一番の成績を取ったことがあり、学校では先生にもたいそう褒められて、喜び勇んで家に帰り、誇らしげにそのテストを母親に見せました。すると私の母親はそのテストをビリビリに破り捨てて、「1点足りないよ」と言われました。
作り話に聞こえるかもしれませんが実話です。なので私自身、かつては完璧主義的な考えがあり、自分では悟ったようなことを言って、これはこうなってこうなって、それで失敗するから、だからやらない、と色々なことを避けてきた記憶があります。私の体験談ですが、このようなことから、人は完璧主義に陥ってしまいます。
社会の影響による完璧主義
我々日本人がいま生きている社会は、資本主義であり民主主義の社会です。世界には主義思想の違う国はありますが、ポイントはどの社会にも重要視される価値観があり、そこにそれぞれの個人の常識というものが加わって、価値観の形成に歪みをもたらす可能性があります。
例えば、私は英会話の指導者として留学生と接してきましたが、その中で将来はどうしたいのかという相談を受けることもあります。私自身がそうであるように、海外に住んでみたいという若い人たちもたくさんいますし、収入や結婚といった話をすることもありました。
そのような希望を抱いている学生にいくつか質問してみた中で、特に女性の方は結婚相手の条件をあげることが多かったです。その条件はほぼ全員一致で、男性に求めるのは経済力、しかも最低年収は1,000万円という回答でした。
これは極端な例に聞こえるかもしれませんが実話です。資本主義の国に生きていて、日本の場合は特に男女不平等な部分もまだ大きいと思われますので、男性に高い経済力を求めることが悪いわけではないですが、個人の考え方が社会の価値観に偏っていると言えるでしょう。
社会の影響による完璧主義とは、このように男だったらこうでなければとか、女だったらこう、先生というものはこう、政治家はこうであるべき、母親とはこうでなければならない、といったように社会の要請からくる価値観に基づいて物事を判断してしまいがちです。そうなると、それを満たすことができない自分に自信がなくなり、どうしても新しい行動を起こすことができなくなってしまうのです。
英語のための完璧主義対策
完璧主義はどうすれば改善することができるでしょうか?完璧主義の根底にあるのは、自己批判です。社会的な価値観、自分の価値観、他人の価値観、どの基準に合わせるにしても、それを満たさなかったら自分はダメだと否定してしまう、自分を責める気持ちを変えていくようにしなければなりません。
ですが、単純に自分を責めないでね、そんなに自分を否定しなくてもいいんだよ、自信を持って、と言ったところで、できなくなってしまっているものはできないので、具体的に変えていくためのアクションを2つご紹介します。
自分を許すためのセルフコンパッションという概念を知る
英語が話せいない日本人の中でも、とりわけ自分を責める完璧主義の傾向が強い人は、責任感が強かったり、他人や社会の要請に応えようと一生懸命な人が多いです。日本人の若者は本当にこの傾向が強いと思います。
そのような人たちが、まず自力で改善を試みる場合、せルフコンパッションという概念を知ったほうが良いです。セルフコンパッションは英語でSelf-compassionと書きます。簡単に言ってしまうと、自分を許してあげる力になります。
真面目な人、責任感が強い人などは、社会の基準に満たない自分をどうしても許せなくなります。ですがその考え方を変えて、自分を責めずに許してあげたほうが、その後の行動や結果は圧倒的に改善されることが分かっています。
せルフコンパッションの考え方では、普段の仕事や生活のストレスが多ければ多いほど自分を受け入れられず現実逃避してしまい、どうしてもその後の行動ができないとされています。そして、せルフコンパッションを高める方法は、ストレス解消などにも直結してくる、マインドフルネス瞑想がオススメされています。
瞑想というと一気に宗教っぽいイメージになったり、あるいはヨガなどのイメージを持つ方もいますが、単純なストレス解消方から、自分のメンタル改善のための取り組みとしてアメリカやヨーロッパなどでも広く受け入れられています。そして近年では研究が進み、1日20分程度の瞑想を習慣として続けていくと、物理的に脳のワーキングメモリが増大し、メンタルだけでなく脳機能も圧倒的に改善されることが分かっています。
自分を責める気持ちが強くなると、自分はダメだという考えだけで頭がいっぱいになり、結果ワーキングメモリがネガティブ思考埋まってしまい、他のことを考えることもできなくなってしまいます。瞑想でストレスを開放すればワーキングメモリも開放され、頭の中を埋め尽くしていたネガティブ思考も薄れていきますので、非常に有効な完璧主義対策になります。
瞑想はストレス改善だけでなく脳機能の向上も見込めるので、英語を話すためには色々な相乗効果も見込めます。行動ができない日本人に非常にオススメですが、瞑想は敷居が高いと感じられる方もいるかもしれません。瞑想の基本は呼吸ですが、英語学習に不安を感じた時の対策の中で簡単な呼吸法をご紹介していますので、よろしければ参考にしてみてください。
物事をゲーム化することで完璧主義から脱却する
完璧主義の対策方法として、物事をゲーム化するという方法があります。ゲームは昨今、どの世代でも広く遊ばれていると思いますが、大多数の方は、ゲームに人生を捧げたり、ゲームの結果で自分自身の価値を決めたりはしないかと思います。だとすると完璧主義対策として使うことができます。
どういうことかというと、何かのゲームでもし負けた時、それで自分はどうしようもなくダメなやつだという考えにはまずなりませんよね?どうせゲームだし、まあいいか、と考えることでしょう。ゲームですからね、これで人生終わるわけでもなし、と思えるのがゲームの素晴らしいところです。
これを英語のことに当てはめてみましょう。英会話というゲームをしてみようというわけです。どうせゲームですからね、まあ今の俺はまだレベル1だし、だからまあ最初の自己紹介もちょっとは間違うよね。次直せれば大丈夫、とりあえず話してみよう、と考えるのがゲームの思考です。
こうすることで、英語ゲームをスタートし、間違いながら徐々に単語や文法や発音など、それぞれの経験値を貯めてコツコツレベルアップしていけば良いわけです。このようにゲームをイメージしながら英語に取り組めれば、多くの日本人が抱えてしまっている、間違いを恐れる完璧主義の気持ちは薄れていき、むしろ少しレベルアップした時の小さな成功体験を喜べるようになっていきます。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
完璧主義は軽くみられがちですが、実はその後の人生にまで大きく影響を及ぼすと言われています。日本人の多くが自覚のあるなしに関わらず抱えている問題ですので、あまり軽視せずに、むしろ英語をきっかけに完璧主義を克服して、どんどん英語を話していってください。
それではまとめます。
完璧主義の現状と問題点
完璧主義の原因
完璧主義の対策
英語の完璧主義は根深いものがあり、日本人の若者は特に、とりあえずやってみる、チャレンジしてみるという行動が極端にできないと指摘されています。
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